ヘル・ヘイ・ブン/影山影司
 
こで行われている事は慈愛に満ちている。
 近年コアな人気を集めているのは嶋本昭三風の死である。
 沖縄の東端に位置する島を、真っ白なコンクリートで覆い、上空ヘリコプターからめいめい思い思いのタイミングで飛び降りる。コンクリートに叩きつけられた肉体は生命のしぶきを上げて爆ぜ、周囲に色鮮やかな痕を残す。希望者には落下痕の写真撮影の後、遺族への配送サービスもあり、これは主に若者が好むサービスとなっている。あるスウェーデン人の婦人(65)は、些細な事件でふさぎがちだった息子の破天荒な描画に、思わず涙を流して喜んだという。
 廉価な死を好むのであれば電車というものが人気だ。
 これは日本国が誇る移動
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