ヘル・ヘイ・ブン/影山影司
部の国において認められた安楽死(現在、断罪目的で苦痛の死を望む人間もいるためこの言葉は使われない)は日本でのみ認められることとなった。
抗議活動は様々あったが、「安楽死は医者に殺人許可証を渡さなくてはならない」といった理由を筆頭に、次々に言論粛清が進んだ。自国の高所得者が殺人に手を染めるのは許し難いが異教徒の日本人が殺人に手を染めるのは彼らの自由である。
自由主義国家はこの点において非常に率直であった。彼らはもうずっと前から、背負った苦しみから逃れる方法を心得ていたのだ。罪を告白することより、貴い言葉を一つ覚えるより、ショットガンだのマグナムで、脳味噌をぶっ飛ばした方が『救い』となるのだ。
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