カバとキリカ/松本 涼
「ねえ、あたし砂肝もう一本頼んでもいい?ジリはいる?」と聞いてきたので、ジリはいらないと答えた。
「それじゃあ、お兄さん!砂肝三本下さい!」
「え?一本って言わなかった?」
「うん。言葉のあやよ。」
アヤ?
ジリは、絶対言葉の使い方間違ってるよなあと思いながら、冷たいビールを流し込んだ。
それから一時間ほどして、ほどよく酔った二人は居酒屋を出て、キリカのアパートへと向かっていた。
気がつくと何やら小さな声で、キリカが歌を口ずさんでいたのでジリは「何の歌?」と聞いてみた。
キリカは何で分からないの?とでも言うようなキョトンとした顔で「西島三重子の『池上線』をJAZZ風
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