大好きな詩人を紹介してみます  「吉岡実」/非在の虹
 
ていきます。
そして、引用の二行になります。

この「卵」というイメージですが、吉岡実の詩にはおなじみの語彙で、
ツルッとしたもの、硬さとあやうさ、そして昭和モダニスト好みのオブジェ感覚、と読み取っていました。
ところが最近、それだけではない、そんなオブジェなどというシャレたものではない、という思いにかられています。

俳人西東三鬼が、敗戦後まもなくの広島でよんだ句があります。

広島や卵食ふ時口ひらく   

三鬼が死(絶対の殺戮が行われた街)に対置的においたこの「生きるための糧」。
生に直接つながるものとしての「ゆで卵」と同義ではないか、と思うのです。
吉岡の
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