フウイヌム/亜樹
、渡す当てもない手紙を書いている。いつの日か、これが君の住む町の浜辺に、流れ着くことを願って。
私は今、小さな島に住んでいる。この島は、どうにも奇妙だ。砂はガラス質でひどく澄み、泉から溢れる水は、蜜のように甘い。極めつけは、太陽が南から昇り北に沈む。
そして、この島には『彼女たち』が住んでいる。あの嵐の夜、私を救ってくれたのは、間違いなく『彼女たち』だ。
しかし、『彼女たち』といいはしたが、私には『彼女たち』に性別があるのかすらわからない。ただ、『彼女たち』はひどく美しい。なので、私は『彼女たち』は、女性であると確信している。
『彼女たち』は半人半馬の亜人である。しか
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