編曲0527 / ****'91/小野 一縷
 
く万年筆の先端の割れ目の警笛で
疑惑という痴態を剥き出しにする
無知は力強く畏怖を駆逐し
晒された衝動は指先を切る羽の鋭利
捨て去られ偽名を得た自尊心は稲妻の力を持つ
冷たい痙攣と途切れ途切れの温もりに溺死して
少年は望むべき未開の愛を知る
薄れゆく同心円の回転が帰還の告知を遠投して
肺胞の振幅が止む時 
吐き出した息が気流を生んで狂気の香気を鼻腔へ運ぶ
汚される為だけに交わされた約束は罪人として吊り下げられ
彼が恥じるしなやかな肢体は魅力にあふれ
見世物としてはあまりに誘惑にあふれ
可憐だった花は予想外に分厚い花弁から
蜜を滴らせ充分熟れて腐って堕ちた
粉々に砕いた
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