編曲0527 / ****'91/小野 一縷
いた自我の片鱗はとこしえに輝きを放つ
混沌たる正否善悪の最果てに 連なり重なり合う言葉たちが
運命の只中に沈黙する使命を呼び覚まし 連れてくる
ここに 刻み落とされ震え出す命の高鳴りは
過去を不在へと掻き消し 現在だけを象徴し 祝福する
そして新章は開かれる
失堕者の無垢が 世捨人の衰弱が 水面の境界線を破り
湖の奥深く隠された女神像を 悠然と浮上させる
彼女の微笑 希望が飛沫の輝きを借りて 彼らの頬骨を抱く
濡れて 密やかに錆び始める生命
老いの程近くに佇む 忘れ去られた夢
思考の完全停止の背後に見え隠れする絶対
死と名付けられた限りなく薄い膜
重圧な輝きを放ち 透かし見ることすら適わぬ皮膜
その縁を記す 開始と終末の 分岐点
路上で弾いた硬貨の 表と裏の中心に 行先を賭けて
失望と歓喜が 次々と連なる遁走曲に乗せて
詩を歌う
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