ねこの進化論/salco
イオンちゃんには大きく毀誉褒貶している
ようだ。
過酷な生存競争の中で強くあらねば自己保存が叶わず、強くあらねばなら
ぬからこそ大きく在り、乳児期の愛嬌と虚弱は死を必定として成長と共に
その生態からすっかり剥ぎ取られてしまうので、人間社会に移植されると
いう不如意な安穏の中でも変わらず彼らは餓え、吠え、猛り、交わり、そ
の頑丈な頭蓋骨の中のアフリカで生き続けなければならない。
全く、米粒みたいな牙と爪では世界中のねこが束になってかかっても永遠
に敵わないほど百戦錬磨の強大なライオンちゃんだが、その面構えが小さ
く進化したねこより百万年がた耄昧愚劣に見えるのはこの故だろう。
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