立場/蒲生万寿
 
高台には屋敷が立ち並び

たっぷりとした敷地の中に

余裕ある構えの家

庭も広く松、竹、欅と

幾つもの樹木を植え

その敷地を俗世と断ち切るべく

高い壁がとりまく

「私の領域には、私が許した者でしか立ち入らせぬ」

無言の圧力

これが誰もが欲しがる成功

ヒステリックを内に隠した余裕

その足下に広がるむさ苦しい家屋

成功に憧れ続ける庶民が潜む

狭く泣きたくなるような敷地に目一杯、家を建て込み

隣家と危うく触れ合おうとするすんでの所で権利を主張する

「ここ迄は俺の所有する土地だ」


[次のページ]
戻る   Point(0)