地軸/捨て彦
 
ても長い時間に感じた。時計を見てみると秒針が1秒進むのに5秒くらい掛かっていた。
病院で治療を受け数ヶ月の後完治退院したおれは生涯を地下で過ごすことに決めた。地下で暮らし始めてから二日目、携帯が妙になるのでおかしいなと確認してみると電源が入ったままだった。着信は以前価値観の相違から喧嘩別れした恋人からだった。用件を聞くと地下でもう一度自分と暮らさないかという、遠回しに元さやを仄めかす申し出だった。なぜ今更そんな事を言うのかと語気を荒げて元恋人を問いただしてみると、どうやら地上ではすでに別の第二の巨大な秘密組織が世界を席巻征服しているとのことだった。おれは元恋人の申し出を丁重に断った。次の日恋人が
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