手紙/高梁サトル
 
躇ったあの穢れ無き聖書を受け入れるつもりでいたのです。
過ちを過ちとして受け入れ、白眼視されることなど気にも留めず生きてゆく覚悟もあったのです。

失敗や過ちを犯す者はひたむきに生きる道を模索しているのではないでしょうか。
我を失う程つらかった出来事から、懸命に自己再生しようとしているだけではないでしょうか。
健気に生きようとしているだけなのではないでしょうか。
恵まれた者と恵まれない者、持つ者と持たざる者。
乗り越え難い悲しみや、明日の希望さえ耐えがたい一日。
不平等や不幸は、この世に存在する。
善人だけが救われて、悪人は抹殺される、そんな世界は間違っています。
目も耳も手も
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