手紙/高梁サトル
 
思考はしばしば不幸な結末を招きます。

人間に内在する幸福になる権利というものは、自らの為だけに使おうとすると途端に正常な形を崩し始めます。
それを知りながらも止められないのは、人間の原動力の大部分が、自らを維持する為にあるという所以でしょう。
それに少しでも気付かれたのであれば、あなたのあやふやな信仰も内在する恐れも緩和することでしょう。

ただあなたが欲しがったのは、何でもないただのスケープゴートなのですよ。
その両眼にどれだけ光を湛えても、口先だけの行為は返って私を失望させました。
ですが、そんなこともうお分かりでしょう。

聡明な人、
あなたとならば文解くことを躊躇っ
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