薄暮/within
 
えた。
 そのとき、メイドの声がした。
「メッセージを受け取りました。映子、件名、お元気ですか、です」
 彼は猫を抱えたまま、メールに目を通した。
「こんばんは、映子です。お元気ですか? 今度の週末に伺いたいとおもうのですが、何かいるものがあったらお返事ください」
 彼はメールを閉じると、再び食事を済まそうと、箸を取った。
 映子とは詩の朗読会で知り合った。彼はときたま孤独を忘れるために詩を書いた。彼よりも彼女は遙かに若かったが、どこかしら通じるものがあったのだろうか、どちらかといえば彼は人見知りをするほうだったが、彼女は彼の心の躊躇を気にせずに、ぐいぐいと近付いてきた。彼女も詩を書く
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