メーデー/salco
江美奈やディック・ミネのムード歌謡ではなく、「インターナショ
ナル」などの運動歌が入ったプロレタリア・ソングのボックス入りだった
。3枚か4枚組で、1曲だけ、「♪が〜んばろお〜、勝利の日までぇ〜」
という合唱の歌い出しを憶えている。実に恐るべきアルバムだった。
軍歌を毛嫌いした父の、4分の4拍子と煽動的なメロディーラインが軍歌
に酷似の音楽性は嗜好と言うより主義の表明に過ぎず、政治思想を基に作
られた芸術がいかに稚拙で不毛な表現に終わるのかを実証しているだけだ
った。さすがに大枚はたいた本人も、ターンテーブルに2、3度乗せて蔵
入りにせざるを得なかったようだ。
お調子者の父は私に
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