銀河鉄道/月乃助
どこまでも行くことが許されるなら
乗客のふりをすることに疲れてしまい
今はもう列車から降りたくなっても
そのときは、
旅情はなく それ以上進むことができなくなって
夢ではないマゼラン星雲の星々のすぐ傍らに
博士のくれたコインの光りがあったとしても
それに、手をのばせずにいた
友達を助けようと水に飛び込んだカムパネルラも
いつの間にか列車から消えてしまうのを知りながら、
声をかけずにただじっと、
暗い窓から外ばかり眺めていた
物語りは、そこで終わるはずなのに
違うのです
私は、この列車にいつも妹を見に来る
会いにではなくて、その姿を垣間見るために
好きだ
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