銀河鉄道/月乃助
 
きだった林檎を手にして座っているその背を
少し遠くの席から見つめる
それがこの列車の役目だったのです
顔を合わせれば、きっと
星を取ってくれとせがむお前に
私は何もできずにいることがつらくて、
ただ、それを逃れるために下を向きながら列車に揺られる
どうしてかホタルの明かりを化石にしたような星の光りの中で、
お前が笑っているのが分かるのです
本を閉じようとも、その笑顔は
暗い闇の中に残されてわたしを灯すように
心の中に浮かんでは
取り残されたまま停車場のようなベランダの
その上から遠くに見える丘の方に
下りてくるはずの列車をまっていたりするのです、
星の降る夜、ケンタウルスの祭りの
人の声が少しばかり響きわたる夜
手をさしだしながら






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