彼らの時代/済谷川蛍
カブカだった。
「ダメじゃん」
「でも超カッコイイ」
「じゃあげるよ」
「マジ!? やったー!」
しかし翌日凛少年がジャケットを返してきた。親から言われたそうだ。親からしたらいい迷惑だったのだろう。愛用のジャケットは返ったが、申し訳ないような、残念な気持ちになった。
大学の帰り、小学生の女の子が2人、同じ学校の男子のことを話していた。まるで2歳くらい年下の子供のことを話すみたいに。確かに彼女たちはスタイルもよく、マセていた。貫禄のようなものも感じられた。きっと彼女からしてみれば、学校の先生も自分たちの本当の顔を知らない間抜け野郎なんだろう。ふいに長身の子が振り向き
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