ガールフレンド/済谷川蛍
。手をつなぎましょ」と言って僕の手を握った。汚い手で申し訳なかったが、とてもうれしかった。手をつないで歩くなんて、初めての体験だった。誇らしげな気分なんだろうなと思っていたが、実際は世間に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
映画、カラオケ、ゲームセンター、レストラン。およそ、デートらしいことは大体やって、再び特急こうやに乗って高野山まで帰った。
「俺はきみのことが好きだ」
言わずにおれなかった。
「うん」と彼女は言った。
俺はどこまで自制がきくか不安になっていた。
「今日はありがとう」
「うん」
「楽しかったよ」
「わたしも楽しかったよ」
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