イリュージョン/済谷川蛍
た少年が言った。この子はヒデトと言う。
「見せて、見せてー」と、華のある声を響かせたのはヨシミ。
「それさっきおれが捕まえたやつだ」と、ちょっと自慢げに言ったのはヒロキ。
彼らは皆、同じ学校のクラスメイトである。
「あっ、ぼくそろそろ塾の時間だ」と、ヒデトが言った。
「じゃあ、おれももう帰ろ」と、ヒロキが言って、「あたしも」「ぼくも」と結局みんな家に帰ることになった。ヨシミは森の中に入っていった。あとの3人は野路に置いた水泳袋からタオルを取り出し、ごしごしと身体を拭いた。3人はそこでパンツを履き替えた。服を着ると、からだがぽかぽかと温かかった。疎水に石ころを投げな
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