機は熟している、はずなんだけど。/佐々宝砂
 
樹の文章のリズムがどんなふうに違うかということを。

とにかく文章のリズム、テンポ、そんなものだって10年前とは違うのだ。これだけ世の中がネットで繋がれ、ケータイは電話と似て非なるものとなり、iPadだって発売されちゃうのだから、詩の世界が10年前と同じでいいわけがない。もちろん変わらぬ部分があったっていいし、そういう変わらない部分はとても大切なのだけれど、しかし。

紙の本は滅びないだろうけれど、いずれ一部好事家のものになる。すでに音楽CDがそのような状態にある。アルバム単位ではなく一曲ずつ切り売りされるのが普通になっている。文章だっていずれそうなるだろう。あるていど長さのあるものをまと
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