poetarot(愚者のカード)保存版/みつべえ
 
へ。ふるさとの、祭礼の夜。わたしが握りかえした、そのままの、水色の。手を。



そしてまた、あなたは潰え去る。銀色の闇に。わたしは、残された、わずかな欠片に、世界の全部を映そうとして。歌いながら、壊れる。



啓示のように。いきなり、魚が降ってくる。青空の底が、ぬけ落ちて。わたしは、知っていたのかもしれない。青空の上は、海だと。あなたの嘘、と同じくらいには。



ひからびたこころ、風にさらし、川辺に立つ。夕焼けの重量が肩に沈む。まぼろしに、まぼろしを積み上げた遍歴 は、いま、星をひとめぐりして、眼前の春に追いつく。



雲が、野辺に、ひととき、春陰の
[次のページ]
戻る   Point(8)