FREE HUGS・?/高梁サトル
リュージュを目指す。
列車の心地よい振動に揺られながら車窓ののどかな田園風景を眺めていると、体の隅々の神経までほぐれてゆく感じがした。
pm12:30 ベルギーのブリュージュに到着。
駅を出るとすぐ目前に、中世の面影をそのまま残した石畳の道路と古いレンガの街並みが広がっていた。
街の中央にあるマルクト広場へ向って歩きながら、ジョルジュ・ローデンバッハの『死都ブリュージュ』を思い出し、感傷のようなものに浸る。
永遠に失われた愛を探して流離う、古都ブリュージュ。
もし気持ち半ばで死に別れた最愛の生き写しに出会えば、それがどんな悪人だろうと、失われた愛を再び得られはしまいかと期待してしま
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