FREE HUGS・?/高梁サトル
 
った。
フロントの太ったマダムに紹介状を渡すと、すぐさま満面の笑みを浮かべて歓迎してくれた。
どうやらあの老紳士はこのホテルの前オーナーで、今は引退して昼間はよくあのカフェで過ごしているらしい。
交渉の結果、通常宿泊料金よりも大幅に安くなった。
それでもユースホステルよりは高いのだが、伸之兄さんから貰ったお金の使いどころも考えてなかったことだし、ちょうどいいような気もして泊まることに決めた。
部屋に入ると思わず奇声を発しそうになるほど可愛らしい、白地に淡いセピアピンクの花柄のカーテンとベッドカバーが目に入った。
くすんだワインレッドの絨毯に、重厚感のあるアンティーク家具、アメニティグッ
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