FREE HUGS・?/高梁サトル
映ったのだろうか、隣に座っている白髪の老紳士がこちらを心配そうに見ている。
恐るおそる近くに安く泊まれる宿屋はないかと尋ねてみると、この近くに知人がやっているホテルがあるからそこへ行けという。
ぼったくられるのかという半信半疑の面持ちに気付いたのか、老人は笑って心配ないという風に地図と簡単な紹介状のようなものを書いてくれた。
「Merci beaucoup. Dank u wel.」
食事を終えるとその紹介状を握り締め、急いでカフェを出た。
この時期は観光客が多い、ぼやぼやしていると手ごろな宿は全部埋まってしまうのだ。
紹介してもらったホテルは、広場からさして遠くない旧市街にあった
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