嗚呼、原田芳雄(敬称略)/salco
 
ただけに、実に稀有な魅力を放射しており、長身・筋骨の揃った体型、ウェーヴのかかった長髪に彫りの深い精悍な顔立ち、咽喉で押し殺したような声をボソボソッと、また何とも繊細な形の唇から出すコントラストがこれ以上はないほどセクシーだったものだ。そして恐らく、LEVISの中古ジーンズが似合う最初の日本人俳優だったろう、存在が実にR&Bなのである。バーボンのラッパ飲みとヨレヨレの白シャツ、馬泥棒と娼婦肩担ぎのお尻ペンペンが似合う男なのであった。
その頃ちょうど浅丘ルリ子がヒロインの「冬物語」というメロドラマが午後に再放送されていて、人妻と恋をし、最後は脳腫瘍で死んでしまう粗野な男を演じているのを観たが、東宝
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