嗚呼、原田芳雄(敬称略)/salco
東宝崩れの性格俳優(つまり醜男)や端正なだけの人気者ばかりの当時、甘ったるい外国の映画俳優にもない独自の男くささと渋い、どこかしら含羞のある屈折した個性に私も幼いハートを赤熱させたものだった。この直後に確か撮影中自動車事故を起こして、しばらくテレビから干されてしまったと記憶する。
70年代というのはあらゆる方面でもがき・あがきがイタチの最後っ屁的に放出された面白い時代だったのだが、逸材でありながらお茶の間向けには主役を張れなかったのは、アメリカン・ニューシネマの「イージー・ライダー」や「真夜中のカウボーイ」で薄汚れた純情の極致美に触れながらも、日本はまだまだダサダサ層がオーソリティをがっちり
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