FREE HUGS・?/高梁サトル
 
のサラリーマンのようです。それを肌で感じるごと、日本の将来を危惧して、どうにかせねばとまだ若かった私の胸の内はずっと燃えたものです。」
それからTと共に歩んだ数年、2度目の選挙に無事当選したのを見守った後、彼は政界を去ることを決意したのだという。
「私は先生に与えられた最低限の責務は果たしたと考えている、悔いはない。」
その言葉の真意は分からなかったが、しかしひとりの人間の人生のターニングポイントとなった深い事情があることだけは窺い知れた。
彼は現在香港大学の事務局で、学生たちの就職相談や指導を行っているという。
「政界を引いたらどんな形であれ、教育現場に携わるのが夢だったんです。次世代
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