FREE HUGS・?/高梁サトル
世代を担う若者を支えたい。こんなこと思うのは、僕に子供がいないからかもしれないな…」
私は何も答えずに、言葉が途切れた先の遠くの方にある南シナ海の水平線に目を凝らした。
案内が終わると、香港大学のキャンパス内で簡単な食事が用意されていた。
簡単といってもその量の多さと油っこい料理の数々には閉口し、ほとんど小籠包と湯だけでお腹いっぱいになった。
食事をすませたところで、皆とお別れ。
「多謝哂。」
互いの頬と頬をすり合わせて抱き合い、別れの挨拶をした。
学生たちの希望に満ちた朗らかな笑みと違って、郷田のそれには翳りが見えたが、気にかかったところで今の自分に何ができるというのだろう。
私はさらの着替えが詰め込まれた荷物を手に、大学を後にした。
空港まで戻り、次の中継地点バンコクへと出発する。
pm21:55 ルフトハンザ機内にて。
キャセイ航空よりもやはり美人の客室乗務員が多い。
気分が良くなり、ビールを一杯頼む。
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