ウイリーの風/剣屋
 

「ナナメさん。俺にニンジャを運転させてください。ハーレーはナナメさんのマシンだし乗り慣れているでしょう」
 ニンジャから降りたナナメは得意げな顔で言う。
「ほら乗れよ。どっちが勝つかは既に決まっているけどな」
「僕の修理中のスティードはポンコツだからいつも負けますけど、キリコのニンジャは素晴らしいマシンだ。今日こそ勝てるかもしれない」
「いきがっても無理だぞ、ゼロ君」
「ナナメさん。峠の声が聞こえますか。今日の勝負はゼロが勝つよ、っていう声が」
「ほお、それは凄い。俺にも峠の声が聞こえたよ。ゼロ君は負けた腹いせにキリコの前で素っ裸になって膝枕してもらって慰めてもらう、っていう崇高
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