ウイリーの風/剣屋
視線をやった。
「ちっ、こっちは大便のことで頭がいっぱいっていうのに。あっちはより最悪な事態だな。あれはたぶん拉致だ」
面食らったゼロがどもりながら喋る。
「ほ、本当ですか。もう間に合いそうにないですよ。このまま追走しますか。それともナンバープレート控えて警察に連絡しますか」
厳しい顔つきになったゼロが睨むような眼をして、
「ウイリーで突っ込む」ときっぱり言った。
「はああああ? ハーレーでウイリーする馬鹿はいないって言ったのはナナメさんでしょう。突っ込んでどうするんですか。死ぬかもしれませんよ」
「そんなものは時と場合による。車を破壊して動きを一瞬でも止めたほうが手っ取り早い。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)