ウイリーの風/剣屋
い。一番簡単に済む。大便は漏れるかもしれんがキリコの命には変えられん」
二人が話している間に、醜い男はキリコを車内に押し込んだ。そのまま運転席に乗り込み、ヘッドライトを点けて今にも発進しようとしている。単車から降りて救出に向かっても、逃げられるだけだろう。
「僕も覚悟を決めました。ウイリーで突っ込みましょう」
「いやお前はしなくていい。俺が突っ込む。お前は車が止まった隙を狙ってすぐにキリコを連れ出せ」
「でもナナメさん」
「俺が何かに失敗したことはあるか。信じろ」
「いっぱいありますけど信じます」
「よし決まった。派手に大便漏らしてやるぜ」
体当たりを決意したナナメの表情は全く
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)