ウイリーの風/剣屋
た。いまは、もう喋らないよ。続きは別の場所で話してあげるよ」
羽交い絞めにされたままキリコは駐輪場のほうへと連れて行かれ、車の前までやってきた。車はジープ・チェロキーだった。
この車に乗ってしまえば後戻りは出来ないだろう。
キリコは思う。乳房を揉まれたあとは拉致、その次に待っている世界は――きっと男の欲望全てが自由に解禁された、操り人形にされるだけの希望がない世界だ。
抵抗のできなくなったキリコは諦めていたが、その時、後ろから眩しい白い光とオレンジ色の光が縦長の線となってアスファルトに伸びてきた。キリコと醜い男の背中を鮮やかな色彩で照らした。何台かの車両のエンジン音が聞こえる。
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