ウイリーの風/剣屋
にいいよね。そうそうその調子その調子。美しい顔から美しさが失われていくのは快感だ。一切の喜びがないその顔。私は君の美しい顔を歪ませることに生きがいを感じる。僕と同じ顔にしてしまいたい。この焼け爛れた顔と同じ醜さを与えたい……そうさ娘と同じ君にね」
――そうさ娘と同じ君にね。
疎ましい言葉の羅列の中、謎めいた不可解な言葉にキリコは首を捻る思いだった。娘と自分の何が同じだというのだろうか。出会ったばかりであるから醜い男の家庭事情を知る由はない。与り知らないことに立ち入るのは危険だ。深く問いたださないほうがいいだろう。
「お願い。もう喋らないで。あなたの声、本当に聞きたくない」
「わかった。
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