『神戸』エッセイ6500字/アマメ庵
 
トゥルーの『未来予想図?』が鳴って目を覚ます。
彼女だけに与えられた指定着信音。
いつもぼくから電話をかけていたから、この着信音を聞くのはずい分と久しぶりだ。
発信者の名前の後ろに付けられたハートマークに頬を緩ませて、受話ボタンを押す。
「もしもし」なるべく抑揚をつけないように、いつもの調子で出る。
「今日どないするん」彼女の声には、棘が感じられた。
ぼくに対する非難。
さっきレジで見たときの淡い希望は崩壊し、これから伝えられるであろう悲しい答えが察せられた。
声を聞いた途端に、トラックまで来てよとは云えなくなった。
「ん。そっちに行く」

数時間前に歩いた遊歩道。
さっき
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