『神戸』エッセイ6500字/アマメ庵
誘い文句だったろう。
半年以上振りに見た彼女は、元気な彼女で、そんな表情を見せられると、もしかしてぼくを待っていてくれたのではないかとも思われた。
トラックに戻って、焦燥な気持ちを落ち着けようとひと眠りする。
以前は、眠たい運行を押して、彼女に会いたいためにこの街を目指した。
彼女が学校か、あるいはアルバイトから帰ってくるのを、トラックの中で待った。
やがて窓がノックされ、嬉しそうな彼女の顔がそこにあったのは、過去の話。
彼女が来るのは、いつも約束よりも遅かったっけ。
今日はたまたまトラックに乗ったが、もう本職ではなくなったし、神戸に来ることもまずないのだ。
ドリームズカムトゥ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)