『神戸』エッセイ6500字/アマメ庵
なります」
財布を出して、代金を支払う。
「253円ちょうど頂きます。ありがとうございます」
てきぱきと仕事をする彼女。
都合よく、レジの周りに他のお客さんはいなかった。
「飴は、君にプレゼントだよ」
「あぁ、ありがとう」
エプロンにチュッパチャプスをしまう彼女。
「あとこれ、お土産」
ぼくは作業着のポケットから、キャラクター物のご当地ストラップを手渡した。
「あぁ、ありがとう」
まだシナリオの通りだ。
彼女と背中合わせに立つレジの女の子が、訝しげにこちらを伺っていた。
バイトを終える13時からの約束を取り付ける。
「今日、昼飯でもどうや」だなんて、なんて安直な誘い
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