『神戸』エッセイ6500字/アマメ庵
前中のスーパーに作業服でサングラスの男は目立つ。
しかも、買いに来たのはチュッパチャプスときている。
サングラスの下から彼女の視線を確認すると、
「やあ」
はっきりと発音して歯を見せた。
凄くクールに、格好つけて言ったつもりだった。
それは、上手くいったと思ったけれど、実際はどうだったか。
彼女に見えないところで、ぼくの膝は今にも震えそうだった。
「だいちゃん。なんで居るん」驚く彼女。
いろんな形で、何度も彼女を驚かせてきた。
これは、予想された応対だ。
「やあ、来てしまったよ」これも、台詞を読むようにはっきりと言う。
「31円が5点、98円が1点、お会計253円になり
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