『神戸』エッセイ6500字/アマメ庵
ていた。
そんな間も、ぼくは彼女を愛おしく思い、彼女は恐らくふわふわしていた。
自分勝手に、彼女を占有し続けている気になっていた。
それでもこの曖昧な関係を改めようと、真剣に手紙を認めたのがひと月以上も前。
それ以来、連絡は途絶えた。
朱色の神戸大橋を渡ると、ポートアイランド。
付き合っていた当時なら、一番浮かれるスロープだった。
いつもの、と言っても何ヶ月も着ていなかった指定席にトラックを停める。
サイドブレーキを上げる。
ブレーキのエアがスパァっと音を立てて抜け出して、ぼくも空気を吐き出した。
彼女のアルバイトするスーパーへ遊歩道を行く。
作業服姿のまま、サングラ
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