『神戸』エッセイ6500字/アマメ庵
 
中できる趣味、初めて見つけたわぁ」
「そら、よかったなぁ」
ぼくの鼓動が高鳴る。
ダーツバーなど、ぼくは行ったことはないが、女子大生が一人で行くようなところではなかろう。
女友達と行っているのか。
それにしても、誘惑の可能性は大きい。
女子大に通い、アルバイト先も女性ばかりと思って安心していた。
すぐ近くにいられないぼくは、あらゆる男の存在を恐れた。
(誰と行くんや)
「だいちゃん、ダーツとかやったことないわ」
「結構、嵌ると思うで」
「そら、ちょっと挑戦してみなあかんなぁ」
(誰と行くんや)

僅かな沈黙があって、調子を合わせたようにお互いジュースグラスを持った。

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