『神戸』エッセイ6500字/アマメ庵
うな少女が、紅を塗って正面に座っていた。
半年以上も会ってはいなかった。
19の少女が21になって、変わるのは当然だろう。
「ホンマ久しぶりやなぁ」
「せやなぁ」
「元気、しとったか」
「んー。ぼちぼちやなぁ」
「なんか、綺麗になったんちゃう」
「そうかな、気のせいやろ」
「やっぱり気のせいか。眼鏡曇っとるんかも知れん」
「しばくぞ」
お互いの近況を語り、冗談を言い、笑い、食事が運ばれる。
(お前が好きや)
(もういっぺん付き会うてくれ)
(新しい彼氏とかおるんか)
言えない言葉。
言ってしまえば、なんらかの答えがある。
きっと悲しい答え。
少しでも、本当に少し
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