島野律子小感/葉leaf
 
。社会や他人の不在は真空のように鋭く彼女の生活の基底となり、彼女の生活の輪郭を際立たせている。
 私はこのような限定に、居心地の良さを感じると同時に、穏やかな敵意を感じる。何事かを選好するということは、他のものを穏やかに排除するということである。そこには穏やかな嫌悪や穏やかな敵意というものが働いている。島野は無意識的に、自分を疲れさせる社会や未知を多く含む他人というものに対して穏やかな敵意を抱いているのではないか。そして、プライベートで孤独な生活領域に限定された詩を書くことで、その敵意の様々な変奏を、詩の裏側の目立たないところに小さく貼り付けているのではないか。
 さらに、島野の詩における「生
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