島野律子小感/葉leaf
「生活」は主観的でもある。
q4 獣の倒したカップの陰に、髪の絡んだ荒れたうなじに、飽きずにつもる埃の元は、あの月だったのに。(「窓の曇り」より)
ここで書かれている埃と月との関係は、一般的に承認されるものではない。部屋の埃が月からやって来たことを信じる人はほとんどいないはずだ。埃が月からやって来たという関係は、主観的に見出された関係であり、客観的な関係ではない。島野はこのような主観性に満ちた生活を描いている。
5.外界と内界の融和
島野のプライベートで孤独で主観的な生活空間には、当然、感覚や認識や疑問や断言など様々な精神活動が様々な色相を帯びて含まれている。だが、島
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