島野律子小感/葉leaf
る。あるいは、抵抗力や不可解さを我々に親しいものへと変化させてしまっている。そして、我々に親しくなった「外なるもの」は、我々と共生するものとして、一層その「外であること」、そして実在性を強めていく。
6.毛細血管の流れ
島野の生活空間には、隅々まで「文学的な毛細血管」が行き渡っている(それゆえ繊細な作品が可能になっているのだ)。この毛細血管を通って、詩人の血液は、その都度生活空間の適当な局所に流れてゆき、詩行の素を摂り入れて、一つの統一した流れへと流れ込んでゆく。血液の流れ自体は文字として現れないが、文字として現れないところに文字として現れるものを可能とする流れがあることは重要で
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