島野律子小感/葉leaf
 
要である。

q6 振返る木の枝が増えていく朝に、立ち止まる余裕のない足先ばかりを目にしている。(「雨の駅」より)

 まず、島野の生活空間が主観的であることを確認しておこう。木の枝は客観的には振返らない。だが、島野の主観的な生活空間においては、木の枝は振返るのである。そして、木の枝が振返ることをも含む生活空間の至るところに、島野の詩人としての毛細血管が張り巡らされていて、時間や時間の態様、視覚とその対象、またその対象の態様を摂り込んでいくのだ。
 だが、島野の作品では、この血流はそれほど順調ではない。まず「朝」の属する領域から「朝」が摂り込まれていると思われる。だが、摂取された「朝」を
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