島野律子小感/葉leaf
、島野の生活空間を外界/内界という単純な二分法で整理してしまうのは適切でない。
q5 道の下を流れる水音を踏む。(「春先」より)
例えば、この詩行は一見外形的な状況・行為を描写しただけのようにも思える。だが、本当は水音など聞こえていないのかもしれない。地面の下には地下水の流れがある、という知識から、道の下にも水が流れていることが推論され、それに伴うはずの水音のイメージが連想作用の結果として作者の脳裏に浮かび、それがあたかも本当に聞こえてきたかのように書かれたのかもしれない。つまり、「水音」は外界にあるというよりもむしろ、作者の知識・推論・連想によって内界に生み出されたと考えることもでき
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