going to the moon/チアーヌ
うろしてると、すぐに陰陽師の連中がやってきて、追い出されちゃうわよ。あいつら、物怪と見ればなんだって容赦しないんだから」
「はい。前にも他のお屋敷でそんなこと、された気がします。ぼくは、母君を探しているだけなのですが」
「あなた、お母さまを探しているの」
それを聞いて、さすがに姫君は男の子を哀れに思ったのか、こう訊ねてくれたのでした。
「それはかわいそうね。よかったら事情を聞かせてくれない?」
男の子は、久しぶりに誰かと話ができる喜びを全身に漲らせて話をはじめました。
「僕の母君は、僕を産んですぐにみまかられたんです。でも僕はいつも、母君がそばにいることを感じていたのです。だから、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)