夏のおわり/イシダユーリ
やものや空間があると信じさせてくれるものが好きだった。それはいまもだけれど、それっていったいなんなんだろう、ほんとうにそんなものがほしいのかな、いつも、うまくいかなかった試みで、いま、ただただ暗い道を行って、これは人間が作ったものだ。いったいなんなんだろう。と。言った。いつも、失敗する試みを。いつも、仮想する試みを、求める、のは、どうして、なんだろう。卑しいと思いながら、それが純粋なものだと思っていて、けれど、それはいのちのやることじゃないとも、思っているのだから、いつもだめだ。
日本人が信仰するのは「ち」だと思う。
それは、血と地だけれど、それを強烈に身に受けるわけじゃない。空気に血と地
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