アルフォンソ・サノヴァビッチ4世についての覚え書き/salco
 
い。
「おお、第7天国。かほどの快楽知らでとは、最前までの生は無であった
か。知の歓びはその長きコンテクストゆえに実は労作に過ぎなかったとは
! おお、今ぞ我はこれを知れり。夢よ醒めるな時よとどまれ女よ褪せる
な。神様、お袋様、せめて残像だけでも残りますように」
侯爵はエロスの薄明に溺れながら、このように思ったそうだ。
 
そして夢は文字通り、あまりに儚かった。何しろ青春が遅きに失した。
恋に焦がれた侯爵がファム・ファタル探査に乗り出す前に、マスタード・
シード大の前立腺は肥大の途上にあった。そして純真な心が俗世の裏通り
へ辿り着く前に、つまりマッサージ・パーラーという便宜を聞
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