アルフォンソ・サノヴァビッチ4世についての覚え書き/salco
 
を聞き知った時
には、既に男性機能は力を失っていたのだった。尚もバイアグラが認可さ
れた時には老齢ゆえの心疾患を患っていた。
いかに熱心な原罪論者であろうとも、倅の童貞を祈念する老母はいないだ
ろう、自涜を知らぬ修道僧さえ絶無のこの世では。部位からして実際の性
交は至難だったと思われるが、彼は手淫さえ知らぬ(位置的に足淫も不可
能だった)童貞のまま生涯を閉じたのである。
童貞こそは人手を借りる便宜を逡巡し続ける恥ずかしがり屋の謂いである
(処女に逡巡はない。その管轄は清明な慄きである)。やむにやまれず幾
度かは敷居などで試したものの、偏平足の土踏まずに睾丸がぶら下がるに
等しか
[次のページ]
戻る   Point(2)