アルフォンソ・サノヴァビッチ4世についての覚え書き/salco
 
たので、料理や洗髪、爪の手入れを
始めとする日常の面倒は総て付き人に任せていたが、生活はごく質素で上
品なものであった。
と言うのは大型家具や、靴、手袋、帽子以外の服飾品を要さなかったばか
りでなく、舌下に当たる下顎骨底外部の窪みに慎ましい陰茎はあっても肛
門が無く、摂食と排泄が口腔で統括されていたのである。この極めて自然
な合理は気取りのない人柄を醸成し、清濁浄汚の差別観念で優越を構える
矜持のいかに唾棄すべき俗物根性であるのかを、身(顔)を以て実証して
みせたのだった。
例えば彼は右手で目やにを除きながら左手のストローで少量の水を飲みつ
つ、その直下で排尿してみせた。そんな
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